第2章 最悪な彼奴ら
涙が溢れて視界が見えなくなっていく。
『なんでそうな風に言うんや?』
久しぶりに聞く二人の声は、高校生の姿だ。
背も高くなり声変わりもして、幼いあの頃の子とは違って逞しくなっていた。
『あかん、沙耶の悪い癖やで。
ダメだって思ってもあきらめん限りできるようになるって、いつもそう言ってるやん』
侑君がそう言いながら、手を差し伸べてくれる。
『そうや、たまにへこんでもえぇねん。
でも、そこからが勝負や、沙耶なら、まだまだやれるって』
治もそう言いながら、手を差し伸べてくれる。
何にも出来ない、何にもなくなったのに…私はまた、オレンジのコートにいてもいいの?
あの頃と同じように、二人の傍で笑ってもいいの?
違う…違うよ!眩しいあのコートになんて戻れない。
私は、もう飛べないんだよ。
どんなに頑張ったって、努力したって例え歩けるようになったとしても私は、あの頃みたいにバレーはできない。
「じゃ、コートの外に出ていればいい。
ベンチで俺達のサポートをしてくれるか?」
えっ、後ろを振り返ると聖臣が両手を広げてくれている。
「そうそう、俺達の横にいてくれたら嬉しいし、沙耶が、サポートしてくれたら100人力だね」
今度は、元也がニコニコしながら両手を広げてくれる。
「バレーが出来なくても沙耶は、沙耶だ。
ベンチで、俺達と一緒に戦って欲しい」
私にしか見せない歯に噛んだ聖臣の笑顔。
「コートにいることが全てじゃない。
コートの中でも、外でも戦えるし力になるよ」
真っ直ぐに見つめる決意決めた時の元也だ。
『外なんてつまらんやん。
中におらなバレーやってる気にならんや』
聖臣達の傍に行こうとすると、後ろから侑君から悲しい声がする。
バレーで上手く出来ない時、あんな落ち込んだ顔をよくしていた。
『せやな、何もやってない、しようともしてないお前らの言葉なんていらんやろ?』
治君は、真っ直ぐ聖臣と元也に向かって牙をむく。
「お前らみたいに、軽々しく出来るなんて言葉を使うな。
努力して頑張って、それが出来なくなっていく自分の姿を想像してみろ。
今だって沙耶は、苦しんでいるのにそれ以上に苦しめれば、心が壊れる」
相対するように、聖臣の怒りが伝わってきた。