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触れる度に愛を知る【ハイキュー】

第2章 最悪な彼奴ら


夢の中は、気分が良い。

高く飛べば飛ぶほどオレンジのコートは鮮やかに広がり、空いたスペースと見つけてスパイクを打つ。

相手のコートに決まった時、審判の笛と共に歓喜の声が聞こえる。

次も決めるために、またコート中を走り、仲間とつなげたボールを打つんだ。

勝った時の喜びも嬉しさも、負けた時の悲しみや悔しさも次への自分に繋がっていくって信じていた。

けど…あの日の事故とともに、心も体も目覚める事を拒否し始める。

もう這い上がる事はできない。

暗い所に糸に絡まった蝶のように、飛ぶ事を許されない。

そんな時だった。

懐かしい声が聞こえてくる。

その瞬間、毎年帰る兵庫の街並みが見える。

双子の子供に両手を引かれて、必ずいく近所の体育館。

体育館に入ると自分達より、大きなお姉さんやお兄さん達がバレーをする姿。

キュキュッと音がして、サーブやスパイクを見よう見真似でする私達。

「沙耶、俺ら上手くなるで絶対上手なる、なぁサム?」

「そやな、ツムが言うとホンマに出来ん事でも出来るって、お気楽な考えになれてえぇかもな」

「何やねん、サムが自信ないだけやん」

「お前よりあるわ、ボケ!」

双子の兄弟は、笑いながらもお互いに上手くなっていく事が、楽しくてたまらないようだ。

言い合いしながらも、連携が取れるってやっぱり双子。

侑君から私にむかって大きな円を描くように、パスをし繋がった球は、私から治君へと繋がっていく。

「沙耶ーもういっちょや。

サムにもっと強う打ってもえぇで。

体育館の天井いっぱい使ったっていいんやで」

「なんやねんそれ!高く上げ過ぎやと眩しいやん。

球取れんかったらツムのせいや」

「アホか、取れんサムが下手なだけやん」

兄弟がいたらあんな感じで、一緒にバレーやったり勉強したり好きなものが一緒だったりするんだろうな。

少し羨ましい。

「喧嘩は、いけません。おばさんに言っちゃうよ」

「それは、堪忍や。母ちゃん怒るとマジであかん」

ブルブル震える侑君を見て、治君が横でゲラゲラ笑っている。

釣られて、侑君も私も笑っていた。

懐かしいなぁ、もう私は一緒に笑えないね。

太陽みたいな二人の間になんて入れない。

もう、手を差し伸べてはくれないよね?

あの場所に帰ることもないだろうから。
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