第2章 最悪な彼奴ら
聖臣side
「この子が搬送された時…鞄の中から血に染まった井闥山学院のユニフォームを見たんだ。
俺と同じで高校バレーに打ち込んでるんだって嬉しい気持ちも正直あった。
けど…あの事故で沙耶の右腕と軸足となる右足が、変な角度に曲がったことで全てのアキレス腱が断裂している。
仮に手術をしリハビリを頑張れば歩ける様にはなるが、前のように高く飛ぶことなんてできない。
最悪なんだよ…母親の事も大好きなバレーも、全てを失う現実を突きつけるには幼すぎる。
誰かが支えにならないと絶望を希望に変えてやれない」
バレーができない…叔母さんが目覚めないかもしれないって何だよ。
無理だ!一体何んでこんな事に。
沙耶にそれを知られたら、きっと押しつぶされて立ってられない。
そんな沙耶を兵庫になんて連れて行けない。
「あんたが、遥叔母さんを特別な様に俺にとっても沙耶が特別だ。
自分の感情だけで、沙耶を巻き込むのはやめろ!」
「お前の言う通り医師ではなく、一人の男として遥に傍にいて欲しいって感情の方が強い。
それでも、あいつを地元に帰るメリットが当然あると考えている」
自分に向けられる強い意志が伝わってくるが、そんなもの俺には関係がない。
それでも、医師として冷静な振る舞いをしようとしている姿にうんざりした。
「あいつの臓器は、壊滅状態に近い。
自分自身で回復が見込みがない場合は、移植手術も検討に入れている。
それに、臓器の提供が見つかり手術が成功したとしても、目覚める保証がないのが現状だ。
だからこそ、地元に帰れば馴染みの友が、あいつに会いに来てくれる奴らがいるからな。
眠っている遥には、声をかけてくれる人が多ければ多いほ伝わるはずだ。
生きるってことを実感して欲しい。
沙耶には、正直辛い事が多くてしんどいと思う。
けど、母親を安心出来るところにいた方がいいって思うはずだ」
釈然としない言葉、母親のため?沙耶の気持ちも無視かよ。
「目覚めるかもわからないのに、沙耶の気持ちも無視して兵庫に行かせるって、あんた何様のつもりだ。
医者は、神様じゃない…神様だったら沙耶も叔母さんもとっくに目覚めて笑ってる‼︎」
怒りを抑えることはできなく声を荒げた。