第6章 文化祭 *
止まってくれても、離れることはない。
今度は、片手でベットに体を縫い付けられる。
けど聖臣の顔が、よく見えない。
「…怒ってる?」
沈黙が怖くて、聖臣に恐る恐る問いかけてみても、やっぱり何も話さない。
どうしようかと困っていると、聖臣がやっと顔を上げてくれた。
髪から流れる雫が、私の頬を濡らしていく。
聖臣の表情が、なんとも言えないくらい悲しそうで、どうしてそんな顔をしているかのかわからなかった。
「聖臣…ごめんね…」
「…ごめんって…何に謝ってんの?」
「……」
「だんまりか…じゃ俺も何も言わない」
縫い付けられた手に力が籠められ、身動きができない。
「本当、兄さんが言ってた通り、ココに監禁でもしておけばよかったかな?」
ボソリと呟く声が、やけに冷たい。
「…冗談でしょう?」
「…聞こえてた?声に出したつもりもないのにな。
…監禁かぁ…どうかな?沙耶は、何も言わないし俺に隠そうとするし、触れられたくないんだろう?
そうでもしないと話さないなら、するしかない。
それとも…昨日よりも激しくして、抱き潰そうか?」
ゾクっと背筋が凍る。
さっきの悲しい表情でもなく、だだ冷たい瞳に圧倒される。
どうしよう…本当に怒らせたかも…。
「聖臣…あのっ…」
「何?言いたくなった・・・」
「あの、えっと…」
言葉にするのは、やっぱり難しい。
朝は、聖臣も元也もいるから大丈夫だって、本気で思っていた。
けど、いざ学校に行くと知らない人達が、私を見て笑いかけて挨拶をして近づいてくる。
私は、みんなが誰なのかわからない…。
本当に、私と仲が良かったの?
その張りついた笑顔が、恐怖でたまらなくてどうしたら良いのか判断できず足が竦む…この気持ちを言っても理解してもらおうとか思っていない。
けど、聖臣なら聞いてくれる?
目に涙が溢れ1粒ポロリと流れると、次第に止まらなくなり大粒へと変貌する。
「沙耶、待った!!泣くなって…あ~もうっ、一人で苦しめたくないし、泣かせたくないんだ」
聖臣が、ボロボロ零れる涙を拭いながら今度は、困り果てた顔をする。
さっきからこんなにも表情が、コロコロ変わる聖臣を見るのは、いつぶりだろうか?
ネコのように眼尻を舐めて、小さな子供をあやすように頭を撫でてくれた。