第6章 文化祭 *
聖臣side
交流試合の日は、稲荷崎高校の宮兄弟が来るとなると、観客が増えることは予想される。
俺自身、この至近距離で女子どもがキャーキャーと煩いと、試合に集中できないじゃないかと思ったが、こいつらバカなのか?
そのキャーキャー騒ぐ女子どもに、稲荷崎から点を取って勝ち、俺達の方がカッコイイ!!と言われるシナリオを描いている。
応援なんて一人でいい。
俺だけを見てくれる人がいればいい。
IHの決勝、沙耶は、自分の試合も早々に俺達の応援に駆けつけてくれた。
均衡した点の取り合いに、空気は重たく神経を張りつめている中、あの群集の中で沙耶の声が、響いていた。
『聖臣~イッケー!』
その瞬間、俺は、スパイクを放ちコートに落ちた瞬間、優勝の1点をもぎ取った。
太陽のように明るいオレンジコート、そこには割れる歓声と歓喜の声。
その後のことは、あんまり覚えていない。
ただ、フワフワとした足取りで通路で待っていた沙耶を元也と一緒の抱きついた事は、今でも鮮明に覚えている。
「沙耶、応援に来てくれるといいな」
「そうだな…沙耶が、嫌じゃなかったらな」
「そうかな?嫌とか思わないと思うけど」
元也は、俺が言ったことを不思議そうにしている。
「元也…沙耶は、まだ体育館に来てないだろう?
兄貴が言ってたけど、もしかしたらフラッシュバックが起こって、パニックになるかもしれない。
今は、教室に入るのも難しい状態だろう?
慎重に対応してやりたい、元也はどう思う?」
目をパチパチさせながら、いつも通りとはいかない状況に元也も首を傾げる。
「う~ん、結衣ちゃんと一緒に見に来てもらったらどうかな?」
「木崎に?」
「はぁ~そんな嫌な顔するなって」
「アイツに任せたら、宮兄弟の所に行きそうで嫌なんだけど」
「アハっそうだった!結衣ちゃんは、意外とメンクイだったな」
元也の言う通り、自他も認めるメンクイと称している。
そんなアイツと一緒にいたら、宮兄弟のすぐ近くで応援するとか言って、沙耶を出しに近づくに違いない。
想像しただけでも、アイツらと一緒とかあり得ない。
「聖臣!眉間に皺寄ってるって」
沙耶が、するように眉間をグリグリされ、更に不機嫌になった。