第6章 文化祭 *
聖臣side
「全員揃ったか?今から主将の長谷川さんから、秋の文化祭について話しがある。」
大きな声で張り上げた飯綱先輩の声が、体育館に響き渡る。
「えっーと、今回俺達バレー部は、文化祭で急遽交流試合をすることになった。
まぁ、だいたい想像はつくと思うけど、春高に向けて合同強化合宿に参加する稲荷崎高校が、対戦相手だ。
監督からは、強化合宿に行く前に、各高での課題を決めるために試合をするって名目がある。
よって、今から選抜メンバーを発表する。
名前を呼ばれた人は、前に出ろ!」
ざわつく部員達、メンバーに呼ばれば当然ベンチ入りになる。
井闥山学院のバレー部は、総勢70人強もいる。
春高でベンチ入り出来るプレーヤーは、その内12名しか入れない。
学年関係なく、強い人間のみが入れる領域。
夏のIHは、沙耶も選抜メンバーに選ばれ優勝に貢献していた。
あんな事故がなければ、沙耶も一緒に春高に向かって…。
何考えてるんだか…もう沙耶は、バレーを出来る体じゃない。
記憶が戻ったとしても、沙耶が傷ついて泣いてしまうんじゃないかって考える。
今だってクラスメートの顔も名前も記憶に無くて、震えた体と怯え青褪める沙耶が、苦しくて見てると辛かった。
「俺達、呼ばれるといいね」
元也は、嬉しそうにしているが、俺は複雑な気持ちだ。
この段階で、交流試合するとか言ったのは、恐らく南條先生と父さん達が、一枚噛んでいる気がして仕方がない。
どちらにても春高に向けて、メンバーを絞るための選考会も兼ねているだろうと推察する。
夏に出られたからって、今回もって事はない。
3年にとって春高は、集大成であり最後の試合でもある。
だからって俺達にチャンスがないわけじゃない。
「1年WS 佐久早聖臣、同じく1年LI 古森元也以上」
最後に、主将から名前を呼ばれ俺達は、前に出る。
選抜メンバーは、18名。
その中で、1年で選ばれたの俺と元也だけ。
俺達が前に出ると、悔しさを滲ませる2年生の先輩達を退け、最後のメンバーに選ばれるためにやるだけだ。
元也とハイタッチしながら、交流試合の打合せが始まった。