第6章 文化祭 *
聖臣side
しばし黙り込んでいると畳みかけるように笑顔で、『大丈夫』と言い聞かせくる。
『ピンポンパンポーン!!
男子バレー部は、直ちに体育館に集合してください』
タイミングが悪すぎる!この声は、飯綱先輩か?
「聖臣行かないと、あの声飯綱先輩だ」
元也に催促されながら、沙耶と木崎を残して保健室を後にした。
行く途中でも、あの無機質な沙耶の顔が、ちらつく。
「聖臣、沙耶何か無理してるぽかったけど、大丈夫かな?
結衣ちゃんのことを覚えてよかったけど、バレー部のメンバーやクラスメイトは分からなかったみたいだよね?」
「そうだな…俺の推測なんだけど、たぶん昔から馴染みのある人間は覚えている。
けど、バレーに関わっている人間は、本人も含めて全て消去されている。
朝、昇降口であった神崎は、中学から一緒のバレー部だったけど、そこまで仲が良かったわけじゃないし、寧ろ木崎の方が仲が良かったわけだろう?」
「だよね、バレー以外で沙耶と繋がりがある親しい人は、記憶に残っているみたいだったもんね」
元也の言う通りだ。
俺達や宮兄弟の事は、目覚めた時に記憶があった。
バレーに対して繋がりがあったにも関わらず、沙耶の中で近しい人だったから、記憶から抹消しなかったに違いない。
朝のやり取りを見る限り、高校に入ってからの記憶は、ほとんど無いに等しい。
昇降口で神崎が、挨拶をしてきたときも、クラスメートから挨拶をされても、沙耶から顔を見合わせることもなく、下を向き青ざめた顔していたからだ。
「神崎もクラスメートの顔も名前も分からないじゃ、青褪めても仕方ない」
「俺が、教室に入った時は皆も挙動ってたし、どうしたらいいのか分からないって言ってたな」
元也は、クラスの反応を気にしていた。
危惧していた事が、明るみになって沙耶の動揺も酷かったし、これで不登校になったらって考えると気が咎める。
「あのさ、聖臣ちょっと聞きたい事あるから、後で話がしたい。
なるべく沙耶が、いない所で話をしたい、もちろんその時は、結衣ちゃんに傍にいてもらうけど…」
二つ返事で、元也との話を聞く事にする。
第二体育館に行くと、すでに部員は集まっていて俺達は、最後らへんに合流できた。