第6章 文化祭 *
聖臣side
木崎も俺の弁当に釘付けになり、『可愛い!!』とキャーキャ煩い。
「わぁ、マジすごいじゃん!征兄ってやっぱ器用に作るよね。
あっ!でも、このくまとうさぎのおにぎりって、小さい頃よくお腹すく俺らに作ってくれたっけ?懐かしいよな」
元也まで嬉しそうにしていたから、沙耶も微笑んでいた。
昔を思い出し懐かしんでいるのかと思っていたが、次第に沙耶の表情が、暗くなる。
どこにも存在していないような、無機質な姿が怖くて堪らない。
沙耶が、沙耶で無くなる瞬間。
心配になって呼んでみたが、気づいてくれない。
「沙耶、沙耶!!」
少し大きな声で沙耶を呼ぶと、肩がビクリと反応し俺に振り返る。
沙耶を見れば、いつになく青白くなって手が震えている。
「沙耶、真っ青だよ大丈夫?」
それに気づいた元也が、問いかければまた何もなかったように振る舞いだした。
「だっ大丈夫だって、別の事考えてた。
ほら、試験とか!私休んでたから2週間後、試験するって言われてたんだよね。
なんかソレ考えただけで胃が重たくなって…」
アハハとまた作り笑いをして、元也と木崎を落ち着かせようと必死だ。
俺が、何か言いたげにしていても遮られる。
踏み込ませない境界線が、張られているようで辛い。
作り笑いなんてしなくてもいい、ありのままでいて欲しい。
沙耶は、俺にも隠すんだな。
「いや何でもない…大丈夫そうなら少し食べろよ。
食べれなかったら俺と元也が食べるし、何だったら俺が食わせてやろうか?」
いつものようにからかって、頬が膨れる姿を見ると、いつもの沙耶なんだと思える。
だから、俺も話に乗っかり、それに触れることなく何もなかったように振る舞った。
話は、文化祭の話になり、忙しさに感けて沙耶に伝えるのを忘れていた。
「沙耶に言ってなくて悪い!来週末の金・土とやるから」
「へぇ…そうなんだ」
沙耶は、また俯いてギューっと手を強く握りしめている。
不安なのか?やっぱり何が怖いのか聞き出したい。
「不安?」
「そんな事ないって、何をやったらいいのかわからなくて考えてただけだって、そんなに不安そうにしてた?」
簡単には、踏み込ませてくれない。