第6章 文化祭 *
聖臣side
飯綱先輩の校内放送が流れ、俺達は急いで昼飯を胃に流し込む。
走って第二体育館に向かう最中、沙耶の事を気にしていた…。
昼休みも沙耶が起きていないか、元也と確認しに行く。
保健室に行けば、うるさい声が聞こえてきた。
「結衣…ちゃん…結衣ちゃん~」
「あ~はいはい、覚えてくれてありがとう」
泣きながら木崎に抱きつく沙耶。
「ワォー熱烈だね」
冗談混じりで言う元也をギッと睨みつけ、木崎から沙耶を引き離そうとするが、女のクセにバカ力で応戦してくる。
「コラコラ、沙耶で取り合いしない」
呆れた顔の元也と自分の事を覚えていたみたいで、嬉しいそうにしている木崎。
つっかー嬉しいからって、くっつきすぎだ。
「木崎!離れろ」
「あ~旦那が帰ってきた、こんなに可愛い沙耶を渡したくない~」
「ふざけるな、沙耶は病み上がりなんだ。
お前が抱き付くと、体調が悪くなるだろう」
ムスッとしているとニッコリ笑った沙耶は、俺の頭を撫でてくる。
幼稚園児かよ。
お互い譲らず沙耶を離そうとしない。
この攻防が、無駄な時間だ。
沙耶の細いウエストに手を回して、こちらに強引に引き寄せる。
「この!佐久早横暴!私と沙耶の愛を引き裂くな」
いつから、沙耶の恋人になったんだよ。
「さすが!結衣ちゃんは、沙耶のナイト」
「元也お前!木崎が調子乗るだろう」
この展開は、中学の時から変わらない。
沙耶は、懐かしいと思ってくれているのだろうか?
そのたわいのない俺達のやりとりを見て、微笑んでくれたと思った一瞬、影を落とす様に目線を外した。
「沙耶気分は、大丈夫か?」
引き寄せたまま、沙耶のお腹に少しだけ力が入る。
「大丈夫だよ、いっぱい寝たから大分良いよ」
俺に体を預けながら笑顔で答えてくれるのに、その笑顔が作り笑いだと思えてならない。
俺に悟れないようしているのか?
『大丈夫』だと言い張る沙耶は、それ以上踏み込ませないようにしているようだった。
今、コイツらの前で言っても繰り返し大丈夫だと言うだろうな。
家に帰ってから、問いただした方がいい。
また、抱いたらちゃんと素直になってくれるだろうか?