第6章 文化祭 *
少し時間があるため、結衣ちゃんと別れて中庭に寄って行く。
その先にあるのは、第一第体育館。
確か、聖臣達が走って行ったのは、第二体育館だったはず。
誰もいない体育館、入ろうと思えば入れるはずなのに、なぜだか足が竦む。
霧のかかった記憶に、まだ小学生の聖臣と元也の声が聞こえてくるが、何を話しているのかまでは分からない。
頭がギシギシと痛んでくる。
それに耐えきれなくて、近くのベンチに腰を下ろし溜息を一つ。
秋空は、高くあって掴みそうで掴めない。
少しまぶしい太陽が、目をジリジリと焼き付く。
冷たい風が、ふわりと頬を掠めてブルっと震える体を抱きしめた。
「やっぱり記憶が、無い…」
ボソリと呟く声が、息苦しさに襲われてポロリと片方から涙が零れる。
流そうとして流そうしたわけじゃない。
戸惑いと焦り…不安。
ピロンとLINEのメッセージが入る。
侑君?
LINEを開けば、ユニホーム姿の侑君と治君の笑った姿。
二人共仲良いじゃん。
二枚目の写真は、何人か写っており侑君から『レギュラーメンバー』と入ってくる。
写真をよく見ればバックには、バレーコートが写っていてそれを見ると心臓が、ドクドクと痛い。
苦痛に眉を顰めるが、ココには誰もいない。
どうしよう!
息が苦しくてその場に倒れ込み、タイミングよく侑君から着信が鳴る。
『沙耶、LINE見た?』
息が、加速するように迫上がり視界が眩むの堪えて、スピーカーにするのがやっとだ。
『沙耶?沙耶!!聞こえとるんか?返事しいや!!』
声が出ない…息を吸い込むのも苦痛だ。
『おい!サム沙耶が、おかしいねん。
何言っても返事せぇへん』
『ツム、静かにしぃ!なんか聞こえる』
振り絞って出した声も荒い呼吸で言葉にならない。
「ハァハァハァハァ…たッ…」
『呼吸できとらん!!』
侑君の携帯から治君の怒声が聞こえる。
『佐久早と古森は、一緒やないんか?あ~もうっサムあいつらに連絡しろ!!』
『今やっとる、繋がった!!おい、お前らどこにおんんねん。
沙耶の様子が、おかしい!呼吸がおかしいや。
そうや!場所わからん‼︎』
『サム貸せ!どうでもいいねん!はよ探せや!!』
侑君も誰かに怒声を張り上げ、中庭にその声は響いていた。