第6章 文化祭 *
聖臣side
「あっ…それって…」
聞きたい事が山のようにあるのに、言葉に出来ない。
そうこう言う間に予鈴の音が、若利君の携帯から聞こえる。
『すまん、授業が始まる。
今夜話せるか?お前も聞きたい事あるんだろう。
俺で良ければ話は聞くから、番号は知っているな』
「はい…」
『お前のタイミングでいい、待っている。
すまないが、光と代わってくれないか?』
「わかりました」
そのまま先輩に何も言わず携帯を渡す。
動揺を隠しきれず、手は震えていたと思う。
電話を終えた先輩が、心配そうにしていた。
「大丈夫か?お前の方が、彼女より真っ青だな…。
若利が言ったことは…気にすることないし、もう昔の事だ」
先輩が、あまりにも悲しい顔で言うから、居た堪れない気持ちになる。
「さて、私は教室に戻るかな」
ゆっくりとベットから降りた先輩は、沙耶の寝顔をみて少し笑った。
「安心して眠れているようで良かったな?
私の時は、ひどかったらしいから…彼女が羨ましいよ」
聞いてはいけない質問を掛けてみる。
それは、一種の賭けみたいなものだ。
先輩の返答次第では、沙耶の今後の未来にかかっているから。
「先輩…あなたは、どこまで覚えてますか?」
一瞬、目が大きく開かれたと思ったら、不敵に笑い目を細める。
「さぁ~どこまでだったかな?
彼女も私と似ているからな…壊れる前にちゃんと見てないと取返しがつかなくなるよ」
なっ?どう言う意味だ。
取返しつかないって!!
「はい、おしゃべり終了。
雨宮も佐久早も教室に戻った!戻った!」
保険医に、中半強引に追い出されたところを元也が、様子を見に来てくれていた。
最悪にも次の授業は、移動教室。
追及する暇もなく、お互いにそのことは触れず別れた。
元也に何かあったのかと聞かれたから、白鳥沢の牛島若利に彼女がいた事を話した。
その彼女は、ここの女子バレー部の副部長だと言うことも添えて。
ただ事故の話や記憶の事とかは、プライベートな話だし、元也に言うのは止めた。
休み時間ごとに元也と保健室に行くと、呆れる保険医に過保護だと言われても心配で堪らなかった。
昼頃になってようやく起きた沙耶は、中学から仲の良かった木崎結衣と会話をしていた。