第6章 文化祭 *
聖臣side
保険室に入ると、保険医が待ち構えていた。
「おはよう!気分が悪そうだな。
今先約がいるから、静かに寝かせてやりな」
この保険医、女性にも関わらずあまり化粧もしていないから、妙に男っぽい。
まるで、宝塚の男性役ような振る舞いだ。
意外にも生徒から信頼は熱く、なんでも話せる良き姉御のような存在のため人気はある。
「奥でもいいですか?」
「あぁいいよ!どこでも好きな所にしなよ」
窓際のベットにゆっくり降ろしてやると、青白い顔した沙耶は、俺から離れようとしない。
「はっは~ん!さすが井闥山学院の隠れ人気、佐久早聖臣君だね?」
はぁ?
隠れ人気ってなんだ。
女どもからキャーキャー言われるのは、正直しんどい。
これ言うと沙耶が怒るから絶対言わないが、ウザいの一言につきる。
バレーをやっているときは、とくに不用意近づかれると眉間に皺を寄せてしまうこともしばしば。
そんな時、いつも沙耶と元也が場を和ませるようにしてくれる。
「俺は、そんなに人気者じゃないと思いますけど、それを言うなら飯綱先輩の方が人気だと思います」
丁寧に否定すれば、俺から離れなかった沙耶もクスクス笑い出す。
顔をみればまだ青白さが残っているが、教室で見ていた時よりも幾分かマシで、少し安堵した。
「ふ~ん、アイツが言ってた通りそんな顔もするんだな」
「はぁ?どういう意味ですか?」
「まぁ、気にするな!早く病人を寝かしつけて、お前もたったと授業に出ろ。
それから雨宮、いつまでいるんだ?お前も早く戻れ!」
保険医は、横のカーテンを勢いよく開けて寝ている女子生徒に話しかける。
隣のベットから起き上がった女子生徒を見れば、最悪にも見知った先輩だ。
二年の雨宮光…女子バレーの副主将。
最悪の展開…。
沙耶をどうするか決めかねていると、笑い声が聞こえてきた。
「フッふふふ、そんな警戒するなよ!取って食うわけでもないのに」
「雨宮先輩こそ、体調不良ですか?」
わざと皮肉めいた物言いをするも、何も屈さない顔で微笑している。
「朝は、大概保険室にいるし、言わば自分のルーティンみたいなものだ」
「ルーティン?」
どう言う意味だ?
どう話したら良いのか考えていると、雨宮先輩は悲しそうな目で俺を見ていた。