第6章 文化祭 *
聖臣side
車に乗り込みしばらくすると、沙耶が舟を漕ぐようにウトウトしてしまう。
首が痛くならないよう引き寄せれば、安心したように目を閉じる。
「着いたら起こすから、眠っていいよ」
優しく寝付かせるように、頭をポンポンと叩くとすぐに眠りについた。
やっぱり、昨日の事情が体に負担を掛けていたのかと心配する。
自分の気持ちをぶつけて、なりふり構わず抱いた。
でも、それすらも受け入れてくれて嬉しかったんだ。
ずっとこのまま、俺だけを見てくれたらいいのに。
「沙耶、もしかして寝ちゃった?」
兄さんが、ミラー越しに沙耶を見て体の事を心配している。
「あぁ寝たよ。学校着くまでこのまま寝かせておくから」
「そうだな…この道を車で通るなら、あそこの道を必ず通らないといけないだろうし、恐らく事故のフラッシュバックが起こるかも知れない」
出る前に兄さんに呼ばれ、学校までの道のりを沙耶に悟られないよう確認をした。
お互い携帯のアプリで、道のりを模索しても車で行くと必ずあの事故現場に通ってしまう。
だから眠って貰ったほうが好都合だった。
「眠ってよかったな、お前もしかして昨日アレ作戦だった?」
「兄さん!!黙って運転して」
「何?何?作戦って」
「元也、朝から煩わしいよ」
「えぇ~!!ケチ」
不貞腐れる元也をほっといて、スヤスヤ眠る沙耶の頭を撫でていく。
「聖臣、元也にも言ったけど、事故にあった衝撃で沙耶の記憶が飛んでいる可能性がある。
もし、学校で思い出せないことや何か異変を感じたら、焦らず教えてあげるんだ。
お前らが焦ると、沙耶も動揺するし特に部活仲間とかは注意しろよ」
「『わかった』」
元也と一緒に頷きながら、学校までの道のりをぼんやりと眺めていた。