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月の上の存在

第1章 出会い


〜出雲 空〜

ー屋上
あ〜!静かで、癒される。エネルギーがチャージされてくのを感じる。この時間がずっと続けばいいのに。
でも、なんでだろう???いつもより落ち着くのは。

って、気付かれる前に退散しなくちゃ!急いで食べきってっと!
よし!!食べ終わった!

そっと扉を開けて身体を滑り込ませる。ドアを閉めようとしたその時、ヘッドホンの彼が振り返った気がした。気のせいかな?
まぁ、いいか。


〜月島 蛍〜

ー屋上
はぁ。ほんとバレー馬鹿ばっかで疲れる。たかが部活にどうしてあそこまで全力を出すのか僕には到底理解不能だ。
…わかりたくも無いけど。

?「あ、良かった」
誰かの声がした。屋上は静かだからとヘッドホンの音量を下げていたので良く聞こえた。
この声は出雲サン???なんでここに?

入学式で、新入生代表挨拶をしていた彼女を思い出す。
凛とした声で話す容姿端麗な彼女は、挨拶中にもかかわらず聞こえる口笛などを無視し、無表情で淡々と続けていた。その時の冷たい瞳が僕にしては珍しく、印象に残っている。
その後も、隣のクラスってこともあって、たまに見かけてはいたけど、彼女はいつも1人だった。しかも、意図して1人でいるようだった。
普段なら他人に興味を持たないはずなのに、なぜか彼女のことを目で追ってしまう自分に気づいていた。理由はわからないけど。

意図して1人でいるような彼女なら話しかけてくるはずもないし、話しかけてほしいはずもないから気が付かないフリを続けた。

でも、再び扉を開ける音がした時、どうしてもあの彼女の冷たい瞳が見たくて振り返ってしまった。彼女が扉を閉める一瞬、目があった。
本当に一瞬だったけど。

彼女が行って少しして、僕も教室に戻った。

山口「ツッキー顔赤いよ?まさか熱???」

隣の席の山口にはそう言われて顔に手を当てると、たしかに熱かった。
けど、これは…



彼女のせいだ。

月島「山口うるさい。屋上にいたから日焼けしただけ。」

山口「ご、ごめん。ツッキー。」

山口の返事を無視して教室の窓の外をそっと見る。
そこには屋上で見たのと同じ青空が広がっていたけど、心なしかさっきより暗く見えた。
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