第8章 私のための無垢なドレス
「いやいやいや、ないわ。ないでしょアレは」
「キザすぎないか?」
「よくあんな事できんね。恥ずかしくねぇの?」
「僕はあんなことやったら1週間は外を歩けない」
小声で、しかしユウには聞こえるような声で2人は生徒を批判する。
それに対しユウは「ウィンクなんかされた事ないからちょっとドキッとしちゃった」とはにかみながら笑った。
彼女のその言葉でエースやデュース、そして近くに居た他の生徒はよりいっそうロイヤルソードアカデミーが嫌いになった。
ロイヤルソードアカデミーの生徒が全員席に着くと、今度はボーバトンの生徒が食堂に入ってきた。
彼女達の周りを青い蝶がひらひらと舞う。
彼女達が足を一歩一歩と前に出す度に、勿忘草色のフレアスカートがひらりと揺れた。
ロイヤルソードアカデミーが入ってきた時とは違い食堂は歓迎ムードだ。
誰かが指笛を鳴らすのが聞こえる。
「凄い、皆んな綺麗だね」
こそりとユウがエースとデュース、そしてグリムに耳打ちする。
エースとデュースはこくこくと頷き、「目の保養だな」「横を通った時良い匂いがした」など男子高校生らしい感想を言うと、それを聞いていたグリムが「ふな〜〜。オレ様はユウの方がイイ女に見えるんだゾ」と、言った。
この言葉にはユウだけでなくエースやデュース、近くに座っていた生徒達まで驚かせた。
え、モンスターの癖にイケメン。
男としてモンスターに負けた。
男たちは皆一様にそう思った。