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【ツイステ】引き合うさびしさの引力

第5章 やがて糸は火となり繭となる



「あの……すみません、私たち寮に帰りますね」

ユウはフロイドとジェイドに向かって軽く頭を下げる。
ジェイドに山に誘われた事は、フロイドが来たことにより有耶無耶にならないかと期待して、早くこの場から離れようと思った。

ユウが2人の横をそろそろと通り過ぎようとした時、ジェイドが「ユウさん」と彼女を呼び止めた。

足を止め、ジェイドを恐る恐ると見るユウ。
ジェイドはその微笑みを崩さないまま、

「ユウさん。山に行きましょう」

と、言った。
ユウは「え、」と小さく声を漏らす。
先ほども誘われたが、しかし先ほどと違うのは、今度は疑問形じゃないことだ。

ジェイドは笑みを崩さない。
ユウは困惑する表情を浮かべるばかりであった。







ユウは学園の敷地内にある山に来ていた。
山といっても小さな山で、本格的な登山用品が無くても登れるくらいの山だ。



購買部。
困惑するユウをよそにジェイドは彼女に向けマジカルペンを振る。
するとユウの服装は制服から運動着に変わっていた。
まるでシンデレラのようだ。と、ユウは思った。服は運動着だけど。

「グリムくん。貴方は魔法が使えるのですから、このくらいの荷物持って帰れますよね?」

ジェイドはそうグリムに笑顔でそう圧力をかけ、グリムはブルブルと震えながら頷く。

もう逃げられないと悟ったユウは、グリムの前に蹲み込み、グリムに言い聞かせた。

帰ったら手を洗ってね。
買ったものは冷蔵庫に入れといてね。
ご飯の前に宿題をやるんだよ。グリムはお腹いっぱいになるとすぐ寝ちゃうから。
ツナ缶はシンクの下の戸棚に入ってるからね。あんまり食べすぎないように。

グリムは少し煩そうにしていたが、ユウが言い終わった後、頭を撫でると彼は小さくゴロゴロと喉を鳴らした。




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