第5章 やがて糸は火となり繭となる
ジェイドの言葉でフロイドがユウの存在に気づく。
ジェイドの身体に隠れていたユウをフロイドは眉を顰めて見つめた。
「何、小エビちゃん。随分ジェイドと仲良さそうじゃん」
フロイドの視線は、ジェイドの腕を掴む彼女の手に向けられている。
睨むフロイド。
それに怯え、ジェイドを掴む手にさらに力を入れるユウ。
そしてその2人の様子を面白そうに見つめるジェイド。
いったい何が起きているのか。
側から見たサムは思った。
「フロイド。そんなに睨んではユウさんが怯えてしまいます。というか怯えています」
暫くその状態が続き、ようやくジェイドがそうフロイドに声をかけた。
「別に睨んでねぇし」
フロイドはユウから視線を反らすと、サムの元に歩いて行き、「いつもの飴ちょうだい」と言った。
ユウはジェイドの腕から手を離す。
そして「すみません……掴んでしまって」と謝った。
「いいえ。構いませんよ」
ニコリと笑うジェイドに、ユウもへらりと笑う。
どちらも作り笑いというのがわかる笑みだ。
フロイドがサムから飴を受け取って戻ってくる。それと入れ替わりになるように、ユウはサムから食品が入った袋を受け取った。
ユウが袋を持つと、どこからともなくグリムが戻ってくる。そしてユウの肩に駆け上がってきた。