第15章 引き合うさびしさの引力
糸を切り、鏡を潜る時のフロイドの絶望したような表情がありありと蘇ってくる。
「……してない………とは言えない……。
私、フロイド先輩に会いたい……!
でも、家族と二度と会えなくなったら、そっちも後悔する!」
ユウの目からボロボロと涙が流れた。
そんなユウを見て、母は言う。
「確かに、ユウが居なくなったら悲しい。家族みんなが悲しむ。
けど、ユウがずっとそうやって後悔して泣いてるのを見るのはもっと辛い」
一度切りの人生だもの。後悔がないように生きて欲しいって、お母さんは思うな。
母の、向こうの世界に行きたいと言っても止めない。と、いう言葉に、しかしユウは顔を暗くした。
「行きたいって思っても行けない……。行き方、わかんないもん……」
「行って帰って来れたんだから、また行けるかもしれないじゃない」
「どうやって?」
鼻を啜りながら、ユウは母に尋ねる。
母は快活に笑うと、「そんなのお母さんが知るわけないでしょ」と言った。
明確な答えなんて元より期待していなかったが、その答えにユウは思わず顔をテーブルに突っ伏した。