第15章 引き合うさびしさの引力
「あのね、私……違う世界に行ってきたの」
「夢の話?」
母が尋ねるが、ユウは構わず話を続ける。
「そこはね、ツイステッドワンダーランドって言って、魔法が使える世界なの。それで__________」
ユウは母にツイステッドワンダーランドにあるナイトレイブンカレッジという魔法学校に通ったことを話した。
そしてそこで起こった出来事も。
そこで大切な友人が出来たことも。
そこで、好きな人が出来たことも。
母は途中でユウの向かい側の席に座り、話を黙って、時折相槌を打って聞いていた。
ユウが学園長からもらったスマホの待ち受けを見せると、「まぁ!」と驚いた声を上げた。
そしてユウが話し終わる。
最初は夢の話だと思って聞いていた母だが、あまりにも具体的な出来事とそしてスマホの待ち受けを見て、どうやら本当の出来事だったと理解したようだった。
お勝手に沈黙が走る。
火にかけていたヤカンが、ピーと鳴いた。
母が火を止め戻ってくると、ユウに優しく尋ねた。
「良かったの?戻ってきて。後悔はしてないの?」
その言葉に、ユウはハッと息を飲み、そして俯く。
そしてユウはそこで初めてまだ自分の小指に赤い糸がついていることに気づいた。