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【ツイステ】引き合うさびしさの引力

第15章 引き合うさびしさの引力



そして、ユウが故郷へと帰ってから2年の月日が経った。
今日はナイトレイブンカレッジの卒業式で、ユウがこの学園にいた時に2年生だった者が、今日卒業する。

卒業式は入学式と同様、鏡の間で行われた。
問題児が多い学園だが、こういう式典の時ばかりは皆んな大人しくしている。

この式典服を着るのもこれで最後か。と、フロイドは学園長の長い話を聞きながら、式典服の袖口を弄った。
黒と紫、そして金の刺繍が施された式典服。
ほとんど黒い生地で作られたそれに右手の小指に付いている赤い糸がいつもより目立った。

学園長の話が終わると、部屋から啜り泣く声が聞こえてくる。
その泣き声は、1人から2人、2人から3人と段々と増えていった。
しかしフロイドは泣く気にはなれず、もともと卒業式で泣くタイプではないのだが、1年前に泣きすぎた為涙が枯れてしまったように感じた。

チラッとフロイドは隣に立つジェイドに視線を向ける。
やはりジェイドも泣いておらず、いつもの笑みを浮かべていた。

フロイドの視界に入る人物の中で泣いている者といえばカリムくらいで、彼は式典服の袖口で涙を拭いながら鼻を啜っていた。




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