第3章 欲情
「大丈夫か」
簡単にイってしまうなんて、ソープ嬢として未熟なのに、理鶯さんは優しかった。
「大丈夫です」
肩で息をしながら、私は理鶯さんから体を離す。先端が白濁で満ちたコンドームを丁寧に抜き去り、さり気なく口を縛ってソファの横のゴミ箱へと捨てる。
「今度は、そこで体を洗わせてください」
「……ああ」
私は裸のまま、迷彩服のベルトと右脚に巻かれた赤いスカーフ、手袋を外し、ズボンと下着をそっと下ろす。
つま先で背伸びしながらジャケットに手を掛けて脱がせると、最後は理鶯さん自身がネックレスとシャツと靴を脱いだ。
露わになった筋肉質の体に、息を飲む。
「さすが、鍛えられてますね」
「もちろんだ。敵はいつどこから来るかも分からない。そのためには例え戦いが終わっても、常に自分を鍛えておかなければならないからな」
思わずふふっ、と小さく笑う。理鶯さんらしいな、と思った。
「少しだけ、待っていてください」
私はバスタブの蛇口をひねりお湯を張りながら、マットとローションをを出して、バスタブの横のタイルの上に置く。
「こっちです」
理鶯さんの手を取り、バスタブの前の椅子まで誘導すると、理鶯さんは腰をかけた。私はソープを泡立て、理鶯さんの体を洗いながら、時折自分の体を擦りつけるようにして一緒に自分の体も洗っていく。
「何だか不思議な気分だ。こうして体を洗われると」
「ふふ」
シャワーで手早く二人の体を流し、お湯が堪ったバスタブに2人で浸かると、私は理鶯さんの体をそっと押して、バスタブの縁に背を預けさせる。
「少しだけ理鶯さんのこと、味わわせてください」
そう言って私は理鶯さんの鎖骨に吸い付き、そっと胸板まで舌を這わせていく。