第17章 想い思われ反発して
「ラビなんて、どうせ…!!」
(やめろ、やめてくれ…ッ)
すみれが発しようとする言葉が安易に想像出来てしまった。
すみれの口からソレを言われてしまったら、最悪な未来が顕現されてしまいそうで怖くなった。
「待っ…!」
「どうせ、居なくなるくせに…――――ッ!!!」
――――――パリンッ
手元にあったグラスがテーブルから落ち、派手な粉砕音を立てて砕け散った。
ソレはオレとすみれを繋ぎ止めていた何かを物語るようだった。
「…確かに、オレは……」
声が震える。
(あぁ、ホント、馬鹿だなオレ…)
すみれの方がずっとずっとオレの立場を理解していたんだ。
きっと貴族令嬢の頃―――オレが“デック”だった頃から、聡明な彼女はブックマンという性を理解していたんだ。
「…関係、ねぇーけど」
――――――――でも、まさか。
すみれの方からその現実を突きつけられると思わなかったんだ。
《第17章 想い想われ反発して》終