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49番目のあなた【D.Gray-man】

第11章  Xmasと、おめでとう《番外編》



会いたくて、仕方なかった。
恋しくて、仕方なかった。

「…つ」


すみれの姿を見ただけで嬉しくて、安心して。何かが込上げてしまって、涙が出てしまいそうだ。

(…そんな姿は見せらんねーさ)

俺は乱暴に目元をゴシゴシと擦り、何事もなかったようにすみれに声をかける。





「窓は閉めろって、言っただろ?」


すみれは気付いてないのか、なかなか顔を上げない。


「…遅くなって、ゴメンな?」

「……ディック?」

「おう」


やっとすみれの顔が上がる。
すみれはとても驚き、状況が飲み込めていなさそうな顔をしてる。
久々のすみれに、ドキッとしてしまう。鼓動が高鳴る。
あぁ、久しぶりのすみれだ。


「…ディック!!」

「そうさ」

「…ッ!」

「あ、(やべ)」

すみれは俺の姿を見て、口に手を当てた。
すみれの近くに行きたい一心で、自分の今の姿のことをすっかり忘れてしまっていた。


(まさか、会えるなんて思わなかったさ)


俺は普段の子息の格好ではなく、ブックマンとして仕事をする時の格好のままだった。
ましてやボロボロの身なりで煤まみれ、傷だらけの顔や手足だ。

すみれは下を向いてしまい、目線が合わなくなる。すみれにそんな顔をしてほしかった訳じゃない。俺は慌てて話だす。


「く…Xmas頃には帰って来れると思ったんだけど、手こずっちまってさ!」

「…そうなの?」
すみれは顔を上げる。

「ちょいヘマしちまって、この有様さ!」

「うん…」


笑ってくれよ。
いつもみたいに、“しょうがないな”って。
そんな悲しそうな、心配そうな顔じゃなくって。


「もしかして、俺臭ぇ?!こんなに汚れちまってるし…」

やべぇ!と、俺は大袈裟に慌てたするフリをする。

「そんなこと…、」


ごめんな、こんな時間に来て。
心配かけさせちまって。
それでも、会いたかったんさ。

生きてる実感が、
帰ってきた実感が欲しかった。


「こんな時間に来て悪かったさ〜!でも、すみれに会えて元気出たさっ♪」

ははは!っと、いつもの調子で俺はおちゃらけて見せるも、すみれは辛そうな顔をするだけだった。

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