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49番目のあなた【D.Gray-man】

第11章  Xmasと、おめでとう《番外編》



ドンッ ドドドドドドッ
パンッ パンッ パンッ


廃れた町中の、彼方此方で銃声音が鳴り響く。


「っ、危ね」

「ディック!気を抜くでない!」

「んなこと、わかってらぁ」


減らず口を叩いてみるも、余裕はない。ここは戦場の真っ只中だ。

戦車が走り、爆弾や銃弾が飛び交う。気を抜いてしまったら、とばっちりなんてものでは済まない。命を落とすだろう。


(今回のログは、厳しいさあ…ッ)


記録のために、戦火の中をじじいと飛び回る。そのせいでマントも所々焦げ、自分自身も砂埃や煤まみれ。新調したストールも台無しになってしまった。

建物は瓦礫と化し、他方で火が上がっている。住民が干した洗濯物や、植木の植物達が燃えてゆく。
廃れた町とはいえ、そこに住む人間の生活が灰と化す様子を見るのは、


(…余計なもん見るなッ)



「きゃっ、こっちにも火が…!」

「ママーっ!ママどこー?!」

「わあああ!逃げろお!!」


戸惑う声、親と逸れ彷徨う子供、逃げ遅れた住民達の悲鳴を耳にするのは、


(…何も聞くなッ)


助かるモノを、命を。
全て振り切って素通りしていくのは、


(ちくしょう…ッ)



キツイものがあった。





(…俺は、ブックマンとして使命があるッ)

その為に、俺は。
今までも、これからも…



パァァァンッ




「ディック!!」

「……かはっ、大丈夫さ」


銃弾が、俺の首に向かって発砲された。
新調したばかりのストールが、はらりと地面に落ちる。
幸いに体には当たらず、俺の首筋を銃弾が横切っていっただけだった。


「…ちくしょう、」

ザッ


狙われて発泡されたのだろうか。
確認するために発泡された方へ目を向けると、それらしき人物が逃げ出した。
ディックもそちらに向かって走り出す。


(また狙われたら、たまんねぇさ…ッ)


正当防衛の為、使い慣れたサバイバルナイフを構え、曲がり角を一気に走り出す。


ザッ


そこにいたのは、


「う、うわあーーーーーっ!!!」


自分よりも遥かに幼い、子どもだった。
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