第11章 Xmasと、おめでとう《番外編》
「ふ〜ん。つまんないのぉ〜」
ロードはガタッと席を立つ。
「ボク、もう帰るねぇ」
またね〜♪と、ロードはお店を出て行ってしまった。すみれは一瞬、安堵の溜息を漏らすも、すぐにハッとし、
「…ロードちゃん!待って!!」
荷物を持ち、ロードを追いかけてお店を出た。
「ロード、ちゃん…?」
忽然と消えてしまったかの様に、ロードの姿はお店の外にも、何処にも見当たらなかった。
注文した品の会計を済ます為に、すみれはカフェに戻ろうとするも、あの不思議なカフェに再び辿り着くことは出来なかった。
*
「今日は、疲れたな…」
すみれは寝間着で、ボフッとベッドに倒れ込んだ。色んな事を考えたせいか、出かけたせいなのか…
「きっと、全部だ。」
今日を含め、ずっと色んな事があり疲れたんだ。そうに違いない。だから、余計に恋しくなる。
「ディックに、会いたいな…」
カチッ
ボーン ボーン
ボーン ボーン
振り子時計が、深夜0時を知らせる音を鳴らす。
「メリー、クリスマス…」
(サンタさんは、来なかったな。
私の欲しい物は、何ももらえなさそうだ…)
そんな事を思いながら、すみれは深い眠りについた。
クリスマスを過ぎても
年末が来て、年始が過ぎても
白いマフラーを編み終わり、フリンジまで付けても
寒波が来て、まだ溶けきっていない積雪に再び雪が積もっても
ディックがすみれのもとに、現れることはなかった。