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49番目のあなた【D.Gray-man】

第11章  Xmasと、おめでとう《番外編》


そもそも


いつもと違うと感じたあの抱擁は、私の勘違いだったかもしれない

あの抱擁は、出来事は
時間にしたら数分…いや、1分もなかっただろう


(何で、特別に感じてしまったのかな)


…………欲求不満なのかな、私。
寒くなり、人肌恋しい時期になったけれども


そして、抱きつかれ離れた後。
何事も無かった様な、ディックの態度。何かあったと思ったのは、自分だけだったのか

…こんな風に悩むなんて、これじゃあまるで恋する乙女じゃないか


(………いや、確かにそうかも。というか、そうなのか……)


恋に悩むなんて、色めくなんて。
自分には1番縁遠いモノだと思っていた

舞踏会やお茶会等で、恋に空騒ぐ女性達を見て「そんな事しか、楽しむ話題がないの?」と、馬鹿馬鹿しいと、密かに見下していた。


私だって、恋ぐらい年相応にしてきた。だけど、相手の一挙一動にこんなに心乱され、嬉しくなったり悲しくなったりしただろうか。


(私も。恋に空騒ぐ彼女達と、一緒だった…いや、)


むしろ、彼女達よりどうかしてるんじゃないかと思う。あんな、4つも年下の。14歳の男の子が、好きだなんて。口が裂けても、言えることではない。


(…ううん、ディックは魅力的すぎるから)


すみれは膝にかけている、ディックの黒いストールをぎゅっと握りしめる。


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ハロウィンの日、ディックとすみれは名一杯楽しみ、ディックは屋敷まですみれを送り届けた。


『ディック!ストールありがとう』

すみれはストールを外し、ディックに返そうとするも

『あ、それもういらんヤツだから!』

『え?』

『だから、ワリィけどすみれ。処分しといて欲しいさ……んじゃ、またな!』

『ちょ、待っ…!』


ディックの黒猫の耳は、すみれの静止など聞かず。尻尾を揺らし、そのまま闇夜へ紛れてしまった。まるで、本物の黒猫のように。


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すみれはディックのストールを捨てられず、大事に持っている。ディックが返してほしいと、会いに来ることを密かに期待して。

ストールを丁寧に畳み、机の上にそっと置く。


「ディックに、会いたいな…」


すみれは自分の腕を枕に、微睡んだ。
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