第9章 カラ松の過去
チビ太救出から様々な国に立ち寄りながら航海するオザーキ海賊団。全員があれこれと作業する中、ダヨーンがいつにない真剣な顔つきでやってきた。
「前にも言ったけど、もうすぐ危険な海域に入るヨーン」
「どういう海域なんだ?」
「何でもそこに入った船は、無事には出てこれないと言われているヨーン」
「だからどんな海域なんだ?!」
「ダヨーンも初めて来たから、分からないんだヨーン。ただ噂で聞いたんだヨーン」
「ふっ。だとすればその噂は信じるに値しないな」
カラ松の言葉にキョトンとするダヨーン。そんなダヨーンにカラ松は不適な笑みを浮かべた。
「一度入ると無事には戻れないなら、誰がそう言ったんだ?誰がそれを証明できる?」
「…ダヨン…!」
「そうだろう?」
カラ松の隣でそれを聞いていた○○は、カラ松に抱きついた。
「かっこいい!ますます惚れちゃう!」
「はっはー!俺に惚れると火傷するぜ?」
そう言いながら○○を抱き寄せる。呆気にとられて見ていたダヨーンがあっと声をあげる。
「二人はいつ結婚するんだヨン?」
その言葉に二人は互いに顔を見合せ、少し照れながらも言った。
「その話は、ハジメ国のことが終わってからだ」
○○もうなづく。二人の決意は固いようだった。ダヨーンはうなづいて船長室を後にした。
舵を取る手が震える。一松はそんなダヨーンになにも言わずに代わりに操舵した。
「う……っ。ダヨーンは…ダヨーンは、船長には幸せになって欲しいんダヨーン!ヨーンヨーン!」
「なあ、ダヨーン。あいつに何があったの?俺たちと生き別れてから、何があったの?」
「それはそれは、大変だったんだヨン…」
ダヨーンは涙を拭きながら思い出すように言った。
「船長は船に乗ってたんだと思うんダヨーン。その船は他の海賊船に襲われてバラバラになってしまって海には一杯人が浮かんでたんだヨン。船長はそんな中で船体のかけらに乗ってたんだヨン。それを前船長シャーザーが拾い上げたんだヨン」
「そこからは俺が話そう」
「せ、船長!」
「カラ松…!」
カラ松が○○を伴って甲板に来た。
「勝手に俺の昔話をしてもらっちゃ困るぜ。そういう話をする時は、ちゃんと俺を通してもらわないとな」
「悪かったヨーン。でもダヨーンは船長の幸せを…」