第6章 喧嘩
姫「ボクの事嫌いなくせに!!」
そう叫んだ桃李くんは私に抱きついてきた。
弓弦くんは少し困った顔をして
伏「左様でございますか…
では、坊ちゃま。そのままで良いので私の話を聞いて頂けますか?」
そう言って何故怒ったのかを説明し始めた。
伏「いつもなら出来ないところは誰かに聞いて助けてもらっていましたよね?
それをせずに自分で解決するんだと息巻いて、それなのに前日になっても振りは完璧ではない。
弓弦は何度もお教えしようとしたのに、
大丈夫もう少しでできるんだって仰ったので見守っていましたが、このザマです。
弓弦は嬉しかったのですよ?
少し成長された姿を見て寂しくもありましたが、やはり子離れしないといけないのだと離れた所から見ていたのがいけなかったのでしょうか?」
ここまで話して弓弦くんは少し涙ぐんでいた。
見てはいけないものを見てしまった。
そんな気分になったが私は離れる事はできない……。
姫「ごめん。下ろしてもらってもいい?」
そう言って桃李くんはいつもとは違った顔つきで私を見た。
凛々しいと言えば良いのだろうか。
姫「ごめん、弓弦…ボクが間違っていたよ。
ボクは2年生だから、副会長になったんだから今までみたいに誰かに頼ってちゃいけないんだって思って、何でも自分で頑張らないとって思ってた。
筋トレもして…ボクの身体はあまり筋肉はつかない体質だけど、それでも頑張ればって思ってた。
でも、違ったんだね。
弓弦、今から練習すればまだ間に合う?」
伏「はい、坊ちゃまが全力で頑張れば今日中には仕上がるかと…」
姫「じゃあ、すぐに行くよ!
あ、お姉さん!明日見に来るんだよね?」
『う、うん!』
姫「じゃあ、明日期待しててね!
完璧に歌って踊って、お姉さんがボクの事もっと好きになるようにしてあげる!」
じゃあね〜と言って走っていってしまった。
「えっちょっとあんた生きてる…?」
『生きてない…成仏……。』
彼はやはり天使でした……。