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鏡の中から

第9章 始まり




「解った!
お前がやり残す人生の後を引き継ごう!」

「お兄ちゃん…ありがとう…」

夏海が涙ぐむと…

「泣くな!本当にお前は何時も面倒な事だけは…僕に押し付けるんだからね」

春海は妹の頭をクシャっと撫でた

「神楽は僕が引き継ぐ!
お前の子供は…僕の子として育てる
何時か僕が結婚をしたとしても…
僕はお前の子供を一番に大切に育てると約束する」

春海の覚悟の宣言だった

夏海は…兄に…頭を下げた

母 香住は

「夏海、母も神楽を守る礎になる覚悟はあります。
お前が残す…お前の子供を、誰よりも愛し
お前の代わりに…不自由な想いはさせない
夏海…お前に変わって…愛して行きます」

と、覚悟を告げた

龍と交わり…龍の子を産む…

目の前の雅龍は…

人間に見えた

だけど…雅龍は戸籍も持たぬ…

何百年も…生きて…神楽に仕えた龍だ

その龍の子を産むと言う事は…

その命を懸けねば…

出来ない事なのだろう…

夏海は…

その道を受け入れ…

選んだ

ならば…遺される者は…

それを守るしかない…


父 礼二も

「私も神楽の端くれだ…
この命に変えても…お前達を守ると決めている…
夏海…お前に神楽を背負わせて…
申し訳ないと何時も思っていた…
お前が…受け入れた人生の果てを…この命に変えても…守っていくと…約束する」

夏海に…何があっても守ると…約束した

父として…

我が子の花嫁姿を見る事なく…

逝かせるのは…

嫌だった…

娘の…花嫁衣装を着た姿を…

何時か見られるものだと

当たり前に思っていた

なのに…

礼二は…堪えきれず…嗚咽を漏らした


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