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鏡の中から

第18章 永久不滅




黒龍が応接間に顔を出すと康太は

「悪かったな黒龍」

と声を掛けた

黒龍は笑って

「お前の頼みなら……何だって聞いてやるさ」と言った

黒龍は二人を康太の前に連れて行った

「炎帝、夏海と雅龍だ!」

夏海は康太の顔を見るなり……

康太の胸に飛び込んで……泣いた

雅龍は戸浪と春海を見て……

深々と頭を下げた

「夏海……泣くな……
今日はお前の息子を連れて来た……
本当なら高校卒業の年にと……想ったんだが……オレの体躯が……
どうもその頃まで生きられねぇかんな……
少し早めさせて貰った」

よく見てみれば……

康太は窶れた……

体調の悪さを物語っている顔色だった

「………康太……」

夏海は泣きながら……康太の顔を撫でた

「時は尽きる……
オレもまた人の子なり……
人の時間は尽きる……
だから……お前に逢わせに来た
煌星と凰星だ!」

康太は煌星と凰星を夏海に逢わせた

「……煌星と凰星……ですか……」

夏海は泣いていた

夏海は白いワンピースを着て、少女のようだった

黒髪は腰まであって……風に靡いて揺れていた

夏海の目の前に……

何時も鏡で見ている……我が子がいた

夏海は何も言わず……

我が子を見ていた

何かいえる訳がない

置いて来たのは事実なのだから………

雅龍は夏海の手を……強く握った

煌星と凰星の目の前に……

自分と酷似した男が立っていた

金髪で金色の眼をした男は……

煌星に似ていた

黒髪にしたなら……凰星に似ていた

二人は……この人が父なのだと……

その容姿に……納得した

「我が名は……雅龍……お前達の父になる……」

雅龍は煌星と凰星に名乗った

煌星は「……龍……なのですか?」と問い掛けた

「あぁ、我は龍だ……
魔界に嫌気がさして人の世に堕ちて神楽の守り神をしておった……」

凰星は「……神楽の守り神?」と呟いた




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