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鏡の中から

第14章 また明日




戸浪海里と沙羅は…夏海の想いを受け止めた

神楽 夏海

朝廷の世から続く祓い魔の家系

その力…始祖を越える

と言われた力持ちだ

夏海は…優しく微笑んでいた

容姿は…まだ学生と言っても納得出来る程

幼く見えた

長い黒髪を、後ろで束ね

白いワンピースを着て我が子を手にしている姿は…何処か儚く…

体調の悪さを伺わせていた

康太は…戸浪に言った

総ては夏海の想いのままにしてやってくれ…と。

夏海は…若くして黄泉へと渡る

後…1年…持たぬうちに…この世で命を落とす

悔いは遺させたくはない

だから…頼む…と、康太は戸浪に頭を下げた

康太が頭を下げる…

その事態に…戸浪は驚きを隠せなかった

それ程…康太が大切に想う存在

それは…あまりにも…

飛鳥井康太に酷似した…存在だった

家の為だけに在る…存在だった

戸浪は

「夏海さん、貴方の宝を康太と共に守って行く所存です!」

と、言葉に託した

「お願い致します」

覚悟はとうに出来ていた

だが…我が子と離れて…

暮らすと言うのは

頭で解っていても…

身を裂かれる程に…辛かった


「煌星を……連れて行って下さい…」

夏海は…止めどなく流れる涙を拭い

煌星を抱き上げ…

戸浪に渡した

戸浪は煌星を受け取ると…

その腕に抱いた

「ママァ~ママァ~」

煌星が、異変を感じて…泣き出した

夏海は煌星から顔を背けると…

凰星を抱き締めた

「連れて行って下さい…」

「法律的な事は後日お願い致します
では、煌星をお預かり致します
誰よりも愛して育てます
そして何時か…凰星と出逢わせてやりたいと想っております」

戸浪の言葉に…

夏海は…泣き崩れた

嗚咽が漏れる…

雅龍は戸浪に

「行って下さい…」

と頼んだ



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