第14章 また明日
「では、戸浪海里に問おう
貴方は何があろうとも、誰よりも煌星を愛してくれると、言い切れるのですか!」
真摯な瞳が戸浪を貫く
それを受けて
戸浪も妻の沙羅も濁りない瞳を向ける
沙羅は「私は我が子よりも煌星を愛する覚悟は出来ております!
私は戸浪を影から支える女
我が子の海以上の愛を、煌星に注ぎ
我が子になれる様に愛して行く所存です!」
我が子を手放す…夏海に誠心誠意、心を尽くす
夏海は…辛そうに瞳を閉じた
そんな夏海の肩を、雅龍が抱き締めた
戸浪も妻の沙羅も…
雅龍の姿を見て…成る程と想った
康太は戸浪に「お前の貰い受ける子は神楽の守り龍の子だ」と告げた
人の容姿をしていても
雅龍の放つ異彩で…人以上の臭いをかぎ分ける
金色の髪をして、金色の瞳を持つ雅龍
一見…外人に見えない事もない
だが…海神の血を受け継ぐ戸浪には…
雅龍の人でない雰囲気が見れて取れた
「海神か…」
やはり…戸浪を伺っていた雅龍も
戸浪海里とその息子の海に…
人以上の臭いを嗅ぎ取っていた
戸浪は雅龍に問い掛けた
「貴殿は…龍とお訊きしました
龍と言えば…伊織や一生を思い浮かべるのですが…何か縁が?」
総て承知していると、戸浪が口を開く
「我の父が、青龍の父と兄弟になる」
従兄弟…
と言う存在でしたか…と戸浪は納得した
「伊織は…」
戸浪はそう言い…蒼い龍を思い浮かべた
「彼は蒼い…ですよね?」
「青龍だからな!」
一生は赤龍…
彼の兄弟は黒龍と地龍…
四龍の兄弟だったな…と、龍にも色々在るのだな…
と、思いに耽った
「所詮龍は繋がりし存在
お主達海神も繋がりし存在
青龍の両親は金龍と銀龍
そして四龍の子を成す
我の父は黄龍と母は白龍
我が兄の名は白竜と謂う
兄は海神の神祖となり人の世へ渡った
お主達の海神の始まりの龍となる」
総ては繋がっていると…雅龍は言う