第13章 愛しき日々
お婆様は…見事…神楽を続かせ
黄泉へと渡った
「真贋には…何から何まで…お世話にな」
夏海は康太にお礼を言おうとするのを遮り
「夏海、子育ては…どうよ?」
と、話題を変えた
それを受け取り夏海は笑う
「毎日が大変!
まるで戦場です
動きが早くて捕まらないし
何だか…子育ては体力勝負だと初めて気付きました」
母の顔で夏海が笑う
雅龍も父親の顔をして
「双子ゆえ…なんでも同時にだから、大変ではありますが…毎日が充実してます」と付け加えた
「高校の卒業式は出たのかよ?」
「ええ。早目に出て来てくれたので、卒業式は参加出来ました」
心残りは…皆と一緒に卒業式を、迎えたい
だった
その夢が…叶って
夏海は高校の卒業式に出られた
産後と言う事もあって…謝恩会は…参加出来ず帰ってしまったが…
念願の卒業式に出られた
そして、卒業証書を手にして…
記念写真も撮れた
大切な思い出が…出来た
我が子に見せれる写真が…
1つ増えた
「悔いのない日々を…送れ」
飛鳥井康太は夏海に…
残りの時間を悔いなく送れ…
と送った
夏海は、その言葉を受け
「はい!」と微笑んだ
「では今日はこれで失礼します」
夏海と雅龍は深々と頭を下げ、礼を言い、帰って行った
夏海は雅龍に支えられ…明らかに弱っていた
その命の期限が…迫っていた
頬から…
熱い雫が…止めどなく流れ
止まらなかった
残り少ない時間しか…夏海には用意されていない
なのに夏海は幸せそうに…笑う
康太の胸は締め付けられ…
やるせなさが募った
「時は…残酷だな…」
夏海は…19才
輝かしい未来が…続いていておかしくない…年だった
それら総てと引き換えにして…
我が子を産み落とし…
命の限りまで…精一杯生きて輝く
「……二人は…絶対に離れない
僕と君のように…来世へ続く…」
それだけが…救いだった
「…二人の子供は既に軌道に乗っている
違えられねぇのは…解ってるのにな…」
何故…
こんなに苦しい
何故…
こんなに悲しい…
二人を想えば…泣けてくる
康太は…恋人の胸に顔を埋め…
二人を想い…涙した