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鏡の中から

第12章 母になる




1月25日

夏海は破水した

子供の成長に…夏海の体が耐え切れなかったからだ

破水した夏海を抱き上げ毛布で包むと、雅龍はお婆様の所へと走っていった

「雅世!夏海が!!」

お婆様と香住は立ち上がり

「雅龍、車に乗せなさい!」と命令した

香住は車のキーを掴むと、玄関まで走りエンジンをかけヒーターを入れた

お婆様が、夏海を抱き上げた雅龍と共にやって来て

車に乗り込んだ

車は飛鳥井の主治医の所へ走る

信号待ちで飛鳥井の主治医の所へ、これから連れて行くと連絡を入れ

車を走らせた

病院に到着すると待ち構えたスタッフが、夏海をストレッチャーの上に乗せて…

分娩室へと向かった


雅龍は心配で…堪らなかった

香住は雅龍を連れて…お婆様と共に看護婦に案内されて

分娩室への前へと移動した


分娩室の待合室に座っていると…

雅龍の前に…立ち止まる人がいた

雅龍は誰だ?

と、想い見上げると…

そこには…

1000年親不孝を続けた…

雅龍の両親が立っていた

「親父殿…母上…」

雅龍は…想わず…呟いた

「人の世に行ったきりの息子に逢いに来た!
孫の誕生も…見なければならぬからな」

雅龍の父…黄龍が立っていた

「青龍が…人の世を終えて来る前に…
孫を見届けてやると良い…と仰って下さったので…来ました
なんと言う情けない顔をしているのですか…」

雅龍の母親の白龍が立っていた

雅龍は…

信じられない顔で…

両親を見ていた

嘘…

何故…

此処にいるのか…

言葉もなく…

雅龍は…両親を見ていた


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