第11章 宝物
カーテンの向こう側は…何も着けてない
股を開いて…医者に見せると言う
生まれて初めての…体験に…
夏海は…涙が出て来た
医者が…診察をして…超音波でお腹の中を写し出す
「おめでとうございます
妊娠3ヶ月(妊娠10週)です」
と、告げられた
夏海は…恥ずかしさも…情けなさも
消え去る以上の喜びに…
胸を震わせた
「下着を着けて、診察台から降りて下さい」
言われ、夏海は診察台を降り、下着を着けた
看護婦が診察室へとどうぞ!
と、案内してくれ
夏海は診察室の椅子に座った
「今日はご家族は?」
「来ています」
「ご家族と少し話があります
貴方は待合室でお待ちください」
義恭に言われ
夏海は診察室を出て行く
看護婦が夏海の家族を呼びに行き
入れ替わりで…家族は診察室へと入って行った
診察室に、お婆様と香住が呼ばれ入って行くと
超音波の写真を…義恭は二人に見せた
「双子だ
初産で…双児は…キツかろう」
義恭は診察の結果を、お婆様と香住に告げた
香住は…双子…と唖然となった
お婆様は「産めるのかえ?」と問い質した
「産めなくはない…
だが…かなりキツい出産となる
下手したら…命を落とす事も…覚悟に入れておいてくれ…」
義恭は…二人にそう告げた
香住は気丈に建て直し
「夏海は…覚悟の上で産む…
自分の命と引き換えに…逝く覚悟で…
我が子を産む…」
と、夏海の覚悟を告げた
お婆様は「夏海は星の示す先を見たのじゃ…」と義恭に…伝えた
「星が…?見えたのか?」
義恭は…驚愕の瞳をお婆様に向けた
星詠みは…自分の未来を見てはいけない
それなのに…星が未来を指し示したと言う事は…
「そうか…星が…指し示したのか」
義恭は呟き…
「なら、覚悟の上か…」と納得した