第3章 粉砕ブレーキ!【Ruggie】
◆
「98、99、100…ホ、ホントに100個作っちまったんだゾ!しかもオレ様とゴーストの分までたんまりある!」
有言実行、100個のドーナツを作り終えた監督生はいくつかの可愛らしい箱にそれらを詰めた。
「もう夕暮れになっちゃった。グリム、ゴーストの皆、手伝ってくれてありがとう!」
皆がいなければできなかった。
助けてくれる人がいて、私は幸せだなぁと監督生は思った。
人ではないけど。
早く行きなさい、とゴースト達に促されて監督生はオンボロ寮を出た。
まだ暖かい、大量のドーナツを抱えて。
「仕方ないからオレ様が運ぶの手伝ってやる。けど運び終わったら帰るからな!待っててやらねえんだゾ!」
グリムなりの配慮だった。
監督生はグリムに向かって笑いかけた。
「ありがとう」
悪い気はしねぇ、とグリムは思った。
子分の恋路を邪魔するつもりはない。
一人と一匹は鏡を抜けてサバナクロー寮へ。
すると、ふわふわ甘い匂いが漂うので寮生たちはすぐさま、何だ何だ、という顔をする。
マジフト部の部活から帰ってきていたラギーも同じである。
「美味そーな匂い!つかドーナツじゃないッスか、これ」
「あ!ラギー先輩!!」
「うぉ、キミ」
談話室までやって来てしまった監督生はラギーを見つけて嬉しそうに駆け出した。
グリムはラギーに、持っていた二つの箱を押し付けると面倒くさそうに帰っていった。
「え、くれるんスか?」
「はい、どうぞ!まだあります」