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捻れた世界で誰と踊る?【ツイステ】

第3章 粉砕ブレーキ!【Ruggie】





それからは、特に何もなかった。

監督生はあの日のことを何も言わなかったし、ラギーも掘り返そうとしなかった。

女の子ってレオナさんより扱いづれぇ〜〜と思いながらテスト前日を迎えた。

「…っと。こんだけやれば大丈夫っしょ。合格点以上はオレが保証するッスよ。」
「本当にありがとうございました!いけそうな気がします」
「よかったッスねぇ。明日の小テスト、頑張るッスよ〜」


しかしまあ、この10日間監督生は頑張った。

彼女の世界には「動物と喋る」という概念すら存在しなかったのに、よくこの短期間で仕上げられたものだ。

実はラギーも結構頑張った。
魔法が使えない彼女が不憫だったし気に入られたい、という下心もあったから。
ラギーなりに懸命に考えて、ひとつひとつ丁寧に教えてやったつもりだ。
「レオナさんみたいにダブったらダメッスよ〜」なんて冗談をかましながら。


「あら?ラギー先輩、落としましたよ」

パラ、とテーブルから落ちたそれは1枚の写真だった。
コンクリートの壁の前で、大勢の子どもたちや大人たちに囲まれて真ん中で笑う、ラギーの写真。

素敵な写真だわ、と監督生は思った。


「あーコレ、うちの家族と、近所の悪ガキと、友達と…」

ラギーは監督生にその写真を見せてくれた。
そして指さす。

「この人。オレのばあちゃんッス。」
「お祖母様。優しそうな人」
「シシシ、オレ、ばあちゃんやここに写ってる人たちにこの学園に入る前スゲー励ましてもらったんス。学費はバカにならねえけど、スラム育ちのオレがいつか立派な魔法士になって出世するって、信じてくれてる。」
「そうなんですね」
「いつかばあちゃんにアンタの顔も見せてやりてぇッスねぇ。ばあちゃん、喜ぶだろうな〜シシシ!」
「そうなんですか?じゃあ、写真を送るのはどうですか?」

『彼女か!』ってツッコめよ。
そこはスルーなわけ?

「スラムに住所なんてないッスよ。」
「えぇ、じゃあ、私もラギー先輩の地元に行ってみたいです」
「なっ、アンタねぇ。スラムを舐めない方がいいッス。アンタみたいなおマヌケさん、生き残れねぇッスよ。」
「そんな。どんな人なら生き残れるんですか?」
「んー…往生際が悪い奴ッスかね」

オレみたいなね。

監督生は真面目な顔をしてなるほど、なんて頷く。

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