第3章 粉砕ブレーキ!【Ruggie】
◆
翌日。
いつもの様に部活終わりのラギーはオンボロ寮へ。
結局ラギーはバイトのある日も毎日休まず通っている。
そして例のごとく監督生に勉強を教えると夜になった。
最近は勉強の後に雑談なんかもする。
「ラギー先輩毎日忙しいんですね」
「そーそー。昨日だってレオナさんが」
ラギーは何気なく会話を交わしながらも、隙を伺っていた。
彼女の心に、仕留められるような隙はないか、と。
「あ、そういえば言おうと思ってたんスけど、明日部活もバイトも休みなんス!だから早めに行くッスよ」
「!本当ですか!」
「何なんスかその嬉しそうな目は。」
「だって、ラギー先輩とその分沢山一緒にいれるじゃないですか」
「はぁ?」
何ソレ。
オレと居たいってこと?
「キミ。良くないッスよ、そういうことポンポン人に言うの。」
「え?」
ラギーは親指と人差し指で監督生の頬をむにゅ、と掴む。
「勘違いするッスよ?」
何が…?みたいな顔で監督生が見つめてくる。
ああもうそういう所。
思わせぶりな態度を見せたかと思いきや、何のこと?って首を傾げる。
何にも分かってないようでその実全部分かってるようにも見えるその顔。
人の気も知らねぇで。
他所でも同じようにしているんだろうか。
そう思うと不安だ。柄じゃないけど。
だってあんなの、獲物自ら食えと言っている様なモン。
はァ、とため息をついて監督生から手を離す。
「忠告はしたッス。逃げるなら今のうちッスからね」
荷物を纏め、また明日と言う。
パタリ…とラギーは寮を出た。
出てから、「うわぁ」と思った。
「オレ何言ってんだろ…」