第3章 粉砕ブレーキ!【Ruggie】
「頑張ります」
「何が?」
「ラギー先輩のお祖母様に、会いたいので」
「え」
監督生はそう言って、気合いを入れるように両手で小さくガッツポーズをした。
それからお茶が入っていたカップを片付け始めた。
「またお得意の思わせぶりッスか」
「え?なんですか?」
「いーやなんでも。」
そうやって、アンタは。
そんな、好んでオレと一緒に居るみたいな態度されたら勘違いするっての。
コッチはそうやって勘違いしたまま、ズルズルとここまで来ちまったんスよ?
それなのにあの子はいつも涼しい顔で。
オレばっかり好きみてぇじゃないッスか。
いや、そうなんだけど。
どうすればオレを見てくれる?
彼女の背中に向かって問いかける。心の中で。
オレの気持ちを分かって。
オレがどんだけアンタにかき乱されてるか、知ってくれよ。
◆
その翌日、つまりは小テストの当日。
ラギーは休み時間に監督生とバッタリ会った。
「あ、監督生くん。テストはどうだった?」
「聞いてください!手応えあったんです!!」
宝物を見つけた時の小さな子どものように、監督生は目をくるくる輝かせる。
ラギーは反射的に彼女の頭をわしゃわしゃと撫でてやった。
「へぇ〜やったじゃないッスか。いい子ッスねぇ。」
「はい!ラギー先輩のおかげです!」
「それじゃあもうオレは要らないッスね〜、じゃ。」
「え、ラギー先輩」
監督生が呼びかけるも、彼は足早に行ってしまった。
心做しか、先輩の耳がしなだれている様な。
彼女は1人、俯いてぽつりと呟いた。
「どうしたら、私を見てくれるの?」
ラギー先輩、聞いて。
私頑張ったんです。
もっと褒めて。
あなたと近づきたくて、勇気をだして教えてくださいと頼んで、テストも頑張りました。
先輩と過ごす夜のオンボロ寮の談話室も、隣にいる時お日様の匂いがするのも、しっぽがふるふる揺れるのをじっと見ているあの時間も。
このまま終わらせてたまるもんですか!