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捻れた世界で誰と踊る?【ツイステ】

第8章 三日月スプーキー!【Malleus】



そう思った時。


「っきゃあああ!」


フワン、と体が宙に浮く。
内蔵が浮かび上がる嫌な感覚。
座っていたはずのソファが、ない。


…落ちている。

天井が監督生を押しつぶす寸前に床が抜け、暗闇へと垂直に落ちていく。

「きゃああああ!」


堪らず監督生は悲鳴をあげる。反射的に涙が吹き出す。

何かにつかまろうと、隣にいるはずのツノ太郎へ手を伸ばす。


…が、いない。彼女の手は宙を空振る。


「ツノ、」


何が起こっているの?

ツノ太郎は何処?

これは夢?


真っ暗闇を何処までも落ちていくが、一向に底は現れない。
かなり長い時間落ちているのに。


いつもみたいな不思議な夢なら、早く醒めて。



そう願い、監督生はギュッと目を瞑った。







「高い所は好きか?」


監督生はハッとして目を開く。
ツノ太郎の声だ。彼の声が確かに聞こえたのだ。

気がつけば目の前には黒く大きな背中。
目下にはツイステッドワンダーランドの夜景。
頭上には鋭く光る三日月。
自分は細い棒のようなものに跨っていて、脚はブラリと放り出されている…。


監督生はひとつずつ、状況を把握しやっと理解した。

ここは空の上である。
自分は箒に乗って夜空を飛んでいる。
この箒を操る主は…


「ツノ太郎!」

どうして。

オンボロ寮の様子がおかしくなって、さっきまで暗闇を落下していて、それなのに。

今はツノ太郎の箒の後ろに乗っている。


「フフフ。高い所は好きか?」
「…嫌い」
「それは都合がいい。」
「きゃっ?!ツノ太郎、」


ツノ太郎は箒を斜めに傾け、進路を変えた。

急速にカーブをして一気に地面まで降下させていく。


「何してるの?!ちょっ…きゃぁっ!」


監督生は振り落とされては堪らないので、片方の手で箒を、もう片方でツノ太郎の制服をギュッと握りしめる。

ツノ太郎は振り返らなかったが、少し楽しんでいるように見える。


「…人の子」
「な、に」
「空を飛ぶのは初めてか」
「いいえ、初めてじゃない」
「では魔法がないというのにどう飛んだ?」
「カ、カリム先輩が、魔法の絨毯で」
「アジーム、か」

ツノ太郎は更にスピードを上げて地面スレスレまで降下し、目の前の森の中へと突っ込んで行った。


「きゃあああああっ!ツノ太郎!」


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