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捻れた世界で誰と踊る?【ツイステ】

第8章 三日月スプーキー!【Malleus】



「アズール先輩に笑われたの。だから歌うのが怖い」
「アーシェングロットに?」


マレウスの目付きが変わった。

彼の中で、悔しいような腹立たしいような、形容し難い感情が渦を巻く。

奴が彼女を馬鹿にしたのか。
それはそれは。
僕を茶会へ招く唯一の人間を侮辱するとは、僕を馬鹿にしたのと同じことだ。

…海の魔女といばらの魔女は長い間対立していたという。
無論、いばらの魔女の方が魔法も呪いも全てにおいて勝っていたがな。


「音楽なら魔法を使わないから成績は大丈夫だと思ってたんだけど…。学園長に相談しようかな」
「学園長より僕に聞け」


マレウスは食い気味に言った。


「人の子よ。お前に贈り物をさずけよう。」
「え?」


ツノ太郎が言うと、銀のティーセットが突然にカタカタカタカタ…と揺れ始める。

「えっ、地震?」

監督生の故郷にも地震は多かったのでこの程度の揺れでは動じなかった。

しかし…

次第に揺れは大きくなりはじめ、オンボロ寮全体がゴーストハウスの様に奇妙な揺れ方をし始めた。
揺れが不規則なのだ。
縦揺れでもあり横揺れでもある。
戸棚は大きく傾くまでに揺れているが、花瓶は倒れることがない。


「ツ、ツノ太郎何かしら、これ」
「…上を」
「上?」


彼が指を指す方を見上げる。


「て、天井が」


監督生は度肝を抜かれた。
天井が、スルスルと伸びているのだ。
シャンデリアの吊るされた天井は"あの"アトラクションのように、監督生たちの頭からどんどん遠ざかっていく。

「何これ!ツノ太郎がやったの?」

彼は答えない。

そうしている間に窓の外はいばらに覆い尽くされ、オンボロ寮全体が真っ暗になる。
訳もわからずツノ太郎の袖を引くが、彼は何も言わない。

ガッシャーン、と何かが割れる音がする。
監督生の部屋の鏡だろうか。
それを追いかけるようにして巨大な音が耳を劈く。

「雷…?」

緑に光る雷が降っている。
オンボロ寮はどうなってしまったのだろうか。

チカチカと揺れていた照明が遂に力尽き、本格的に真っ暗闇になってしまう。
談話室に入ってくる光は、不規則に訪れる落雷の光のみ。

「きゃあ!嘘!天井が…!!!」


極限まで伸びた天井が、今度は下へ下へと下りてくるのだ。

天井はドンドン監督生に迫り、このままでは潰されてしまう…!


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