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捻れた世界で誰と踊る?【ツイステ】

第8章 三日月スプーキー!【Malleus】



「こんばんは、人の子。」


今宵も2人ぼっちのティーパーティが開催される。

古びた木造の建物で、古びたソファに座り、古びたティーセットで彼とお茶を飲む。


「ツノ太郎。それなぁに?」


監督生とツノ太郎ことマレウスは、こうして月に2回ほど夜のオンボロ寮でお茶会を開いている。

今日もいつもと同じ時刻に彼は現れた。

しかし何だか浮かない顔で、手元の小さく丸い、黒と紫の塊を見つめているのだ。


「あぁ…これは」

ツノ太郎は何だかとても悲しそうに話し始める。


「ドラコーンくんだ」
「ドラコーンくん?」
「ああ…先日、僕が育ててきたドラコーンくんが死んだんだ」
「たまごっち?」
「?タマゴッチとは何だ」
「あ、ううん…何でもない」


この世界にもたまごっちがあるとは。
よく見ると"ドラコーンくん"には小さな四角い画面と3つのボタンが付いている。
おそらくドラコーンくんは、頻繁にご飯を上げたり掃除をしてあげないと死んでしまうのだろう。

「最近は僕も忙しくてな…面倒を見る時間が無いのが、悩みの種なんだ」

珍しくシュン…とするツノ太郎が何だか不憫で、監督生は励ますつもりで背中をトントン叩いてやった。
少し意外だわ、可愛らしいところあるのね、と内心思いながら。


「悩みといえば、お前も今日は些か暗い顔をしている。」
「…わかる?」
「何かまた面倒な事件に巻き込まれているのか」
「ううん、違うの」


実は監督生、明日の音楽の時間に歌のテストがあるのだ。

音楽の授業は1,2年合同。
歌のテストは1人ずつ全員の前で歌い、教師に評価してもらわねばならない。

しかし彼女は学園唯一の女子生徒。
周りがバスやテノールを歌う中、彼女は1人、ソプラノを歌うように指示されているのだ。
全員で合唱をしても彼女の声は高くて目立つし、恥ずかしいのであまり堂々と歌えなかった。
明日だって、音楽室中の皆が彼女の歌のテストに注目するに決まっている。

監督生はそれで、ナーバスになっていたのである。


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