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【HQ】喧 嘩 止 め た ら 殴 ら れ た !

第2章 夏に濡れ衣ぎを着させたい





 街中の小さなスーパーから商店街まで提灯は灯ってるものの、反対側のせいか祭りに遊びに来た家族連れや浴衣を着た若い人達はおらんかった。

 丁度曲がり角、商店街で流れとるBGMが聞こえ始めたとき、歩きながらクラスのグループにメッセージを入れてる最中。唐突に襲ってきた衝撃に俺は「うわっ!?」と声を上げながら驚いて手に持っとったスマホを落とした。
 スマホが落ちる音と、ペットボトルが落ちる音、それと同時に、目の前で浴衣を着た人が尻餅をついて転んどった。対象に俺は呆然とその場に立ち尽くす。

人とぶつかった。
その瞬間瞬時に理解したと同時に。

(これ、浴衣やなくて………)

 目の前にはフードを目深に被る、見覚えのある派手な和装。
 自分が落としたものと勘違いしたのか手元の近くに落ちていた俺のスマホを拾って、傾けた影響でスマホのホーム画面がフードの中を照らした。でも顔は見えんかった。
 しばらくして自分のじゃないと気づいたのかスマホのホーム画面を眺めると慌てて体制を整え始めて、それに呆然と立ち尽くしとった俺もハッとなって、慌ててしゃがみ込み数本袋から転がってしまったペットボトルを回収した。

「すんません…っ! 怪我とかないですかね!?………………あ」

 相手も転んだ衝撃のせいなんか、少し離れに落ちてしまった黒い狐のお面を俺が拾い上げるよりも早く、相手が拾い上げる。
 そして俺の目の前に手の平を突き出して、『大丈夫』と言っているかのようにも見えた。その下からスッと差し出されたスマホを俺は戸惑いながら手に取った。
 受け取りながら俺は酷く釘付けになっとった。


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