第5章 翼をもたない小鳥はずっと
どうやら両親が手をまわしたらしく、1人の少年にはあまりに大きすぎる盛大な葬儀が自宅で直ぐに行われることとなった。
リアは窓から見える黒い参列者をぼーっと眺めていた。
本当に、いなくなってしまったの?
もう二度と笑いかけてはくれないの?
濡れた頬を両手でぬぐい、棚を開けて真っ黒なワンピースを引き出す。
するとまた大きな音と共に扉が開いた。
ゆっくりと扉へと顔を向けると、リアの表情は一気に強ばった。
「お…お父様、お母様。」
両親が2人揃って部屋を訪れたのはいつ以来だろう。
しかし向けられた眼差しは久しぶりに会った娘との再会を祝うものでは当然ない。
「カーテンを早く閉めなさい。お客様が見ていらしたのよ恥ずかしい。……どうして着替えているの。まさかとは思うけど、ロイ君の葬儀に出られるなんて思ってないでしょうね。」
「え…?」
一瞬意味がわからなかった。
「お前は葬儀には出なくていい。」
「ど、どうしてですかお父様!」
「今日の葬儀には、ロイの功績を認めてくださった王の側近や憲兵のお偉い方々も多く出席なさることになった。そんな場所にお前が出ることは罰当たりだとは思わないか。」
「そんな…ですが、私は…、ロイは私の兄です!」
「なんて図々しい…。あなたが出席することを私は許可しません。こんなものあなたには必要ないのよ!」
手に持っていたワンピースは母の手で大きく引き裂かれると、ひらひらと舞って床に落ちた。
その様子をリアは時が止まったかのように見つめる。
お別れも許されなかった……
扉は再び固く閉じられると、鍵をかける金属の音がした。