第5章 翼をもたない小鳥はずっと
しかしその時、閉じていた扉がまた大きな音を立てて開かれた。
「ロイ君!お勉強はどうしたの。そんな汚いのと一緒にいたら移ってしまうわ。ママはロイ君には期待してるの。ママをそれみたいにがっかりさせないで。」
何年かぶりに見た母親は少し皺が増えた気がするが、「それ」と言って汚いものとして見る蔑んだ目は変わっていなかった。
「お母様、リアは汚くなんかありません。優しい心をもった可愛い自慢の妹です。」
リアはロイの言葉に満たされ、涙が滲む。
「あぁ、それの話をしないでちょうだい。眩暈がするわ。
ロイ君明日の準備はきちんとしておきなさいね。」
母親はそう言い頭をかかえて出て行った。リアは心に黒い何が溜まっていくように感じていたが、ロイに呼ばれ頭を切り替える。
「リア、気にするなよ。」
「うん…慣れてるから大丈夫。それより明日どこかに行くの?」
リアがそう言うと、ロイは俯き悲しそうに笑った。
「兄ちゃんは…明日からここを出て、王室付きの先生のところで勉強することになったんだ。」
「すごい!じゃあいつ帰ってくるの?」
リアは憧れの眼差しでロイを見つめるが、ロイの表情に影が入る。
「お兄ちゃん?」
「最低でも3年は帰れないと思う。」
え?
「でも3年したら必ずリアのとこに帰る。また兄ちゃん飛び級でもなんでもして帰ってくるからな。お前の足は兄ちゃんが治してやる。だから待ってて欲しい。兄ちゃんは凄い医者になって絶対帰ってくるから。そしたら一緒に街を出て、2人で暮らそう。」