第5章 翼をもたない小鳥はずっと
時を遡り、ウォールシーナ。
リアは父、母、3つ上の兄と4人で暮らしていた。
他の貴族に引けを取らないほどの大きな屋敷に何十人もの使用人達。
誰もが憧れ、羨ましがる環境だっただろうが、リアにとってはまさに不自由な象徴とも言える鳥籠のようだった。
自分が生まれた頃は普通の商人だったらしい両親は、1度の成功で金に取り憑かれてしまった。
両親は優秀だった兄を溺愛していた。それも以上なまでに。
兄に比べ容量が悪く、足が不自由だったリアは次第に蔑まれ、奥の部屋へと追いやられていた。
どうしてお前はできないんだ。
お前はうちの子じゃない。
生きているだけでうちの恥だ。
毎日1人部屋で泣いていた。
両親から疎まれたリアを使用人でさえ雑に扱うようになった。
食事が運ばれれば今日はいい日だと感じた。決まった時間に雇われた教師がやって来て、時刻を知る。嫁に行くぐらいは役に立てと教養から経済までを叩きこまれる。
部屋から出て、家族と話すことさえ許されなかった。
しかしリアにも幸せな時間があった。
毎晩日付けが変わる時間に、兄ロイはリアの部屋に忍びこみ、ふかふかのパンを持ってきてくれる。そしてリアが寝るまで外の話しをしてくれた。
リアはいつもなにかあっては頭を撫でてくれる兄が大好きだった。
「必ず兄ちゃんがお前を走れるようにしてやるからな。
兄ちゃんは医者になるために勉強をがんばるから。
だからリアも頑張るんだ。いつか一緒にこの家を出よう。」
兄の言葉を信じて苦痛な日常に耐え、何があっても泣かなかった。
ただ兄の言うその時を静かに待っていた。
あの日までは。