• テキストサイズ

海賊王の娘

第3章 放浪記




道なりに進み、二つの墓の前に着く。
右側には兄の誇りだった“白ひげ”が、
その左には兄が眠る。

御供物を添えて両手を合わせる。

『(どうか安らかに…)』

最後にダダンの家から奪ってきたお酒を開けずに置いて踵を返す。

「おい、」

マルコに肩を掴まれる。

「もういいのか」

『ええ。
 話すことなんて何もないから』

「そうか」と言われるが、肩を掴まれたままだ。
何か話す事があるのだろうか。
手を振り払って振り返る。

『どうしました?』

「いや…
 お前はこれからどうするんだよい」

『貴方達に話すことはないわ。』

マルコは気にしていないようだが、周りの人達の気に障ったようで、野次が聞こえる。

『そっちこそ、何をするつもりなの』

何をする気かは分からないが、何か嫌な予感はする。
もしかして…

『敵討ち?』

私の言った言葉に挙動不審になる人がいる。
図星か。
相手は黒ひげだろう。

『今の貴方達に勝機は無い。』

「なっ!!!
 てめェ何様のつもりだ!!!」

『黒ひげ達の力は底知れない。
 ジンベエさんが言ってたけれど、古参の割には黒ひげは得体の知れない奴だったんでしょう?それは貴方達から見ても同じなはず。
 それにアイツは2つの実を食べた異例の能力者。
 勝てる算段なんて無いじゃない。』

この一年で白ひげのナワバリを荒らしたり、名の知れた海賊団を潰したりと、様々な事をしている。
私と戦った時とは比ではない肌に強くなっているのだろう。
そんな人間に、数で勝っても能力の量では勝てるわけがない。

「オレらのことナメんじゃねェよ!!」
「お前みたいなひょろっちい女なんかに心配されるほど弱かねェ。」
「おれたちは四皇の白ひげ海賊団だぞ!!」
「負けたらオヤジにカッコがつかねぇだろ!!」

話しても聞く気がなさそうで思わずため息が溢れる。
私の言葉に煽られたように、逆に闘志を燃やして、仲間の声に「そうだそうだ」と肯定している。
違う。この人達を煽りたいんじゃなくて、
私はどうにかして止めたいんだ。

ルフィの恩人に
エースの仲間に

『もう誰にも傷ついて欲しくないのよ』
/ 50ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp