第3章 放浪記
『(やっとだ…)』
澄んだ空気を思いっきり吸う。
やっと目前の島の安定した気候に入った。
ここに来るまで特段苦労した訳では無いが、島が見えてきた事に多少なりとも達成感を感じる。
エースの死から丸一年経った今日、
私は東の海から3ヶ月ほどの航海を終えてやっと新世界にあるエースと白ひげの眠るこの島に辿り着いた。
おじいちゃんのおかげで凪の帯を超えた後、大変ではあったが、海賊船を奪うなりなんなりして魚人島へ着くことができた。初めての魚人島で不安ではあったがジンベエさんに再会し、彼に色々と案内して貰い、事なきを得た。
そして今、やっと私は兄に会いに来られたのだが、どうやら先客がいたようだ。
白ひげ海賊団の生き残り達だ。
命日に仲間である彼らが来ないはずがないと容易に想像することはできたが、鉢合わせは出来るだけ避けたかった。
まあ、仕方ない。
港に船を止めて降り立つ。
「おい、
てめェ、何モンだ?」
警戒心丸出しの男達が大勢近寄ってくるが、それを1人の男が止めた。
「お前ら待てよい。
コイツからは殺気を感じねェ。
少なくとも敵ではないよい」
1番隊隊長、不死鳥のマルコだ。
彼の言う通り、もちろん戦う気など無い。
それ以前に彼らを相手に勝てると思ってはいないが。
恐ろしく冷静で聡明でさすがだな、と実感する。
しかし今は都合がいい。
話の通じる人が1人はいることに安堵する。
「戦う気がないのなら、姿は見せてもらおうかい。」
この人は、5番隊隊長の花剣のビスタだ。
確かに正体を明かした方が良いと思い、深く被っていたフードを取る。
「お前は……!?」
『…
ポートガス・D・…です。』
「「「!!!!????」」」