第3章 放浪記
「ガープさんが来たぞ〜!!!!」
この村に来てから早6ヶ月が経った。
なんだかんだ長居してしまっている中、村の1人が嬉しそうに叫んでいた。小さな村だから、誰かが叫ぶとその声は直ぐに響き渡る。
マキノさんを手伝う手を止めて酒場の外に出ていくと、大きな軍艦が一隻港に止まっていた。
「ちゃん、行ってきていいのよ?」
『ううん、平気。』
姿を確認した後店内に戻り、カウンターやテーブルを拭く布巾を手に取った。
会いたいような会いたくないような、あの人に対しては恩を仇で返したといっても過言ではなく、罪悪感がすごい。
布巾を握る手に思わず力が入った。
大抵拭き終わり、水道で洗っているとあの人の“気配”が近くなって扉を見つめた。すると、予想通り正義を背負った大柄な男の人が入ってきた。
「もうやっとるか?」
「ガープさん!ええ、どうぞお好きな席に…」
マキノさんの案内を待たずに、
カウンターの、私の目の前にどかっと腰掛けた。
「元気にしとったか、!!
すっかり村の人気者になりおって!!!ガッハッハッ!!!!」
豪快な笑い方とは対照的に私の心は重く沈んだ。
気にしていないように見えて気にしているでしょう、この人は。
優しさに少し泣きそうになる。
『お久しぶりです、ガープ中将。』
蛇口を捻り水を止めて、タオルで手を拭く。
マキノさんに促されて、ガープ中将と1つ空けて椅子に座る。
頼んでもいないのにオレンジジュースが目の前に出された。
『今日は何用で…?』
「遥々グランドラインから駆けつけてやったじいちゃんに対してその反応は冷たいなァ!!!
まぁ、しかし、ちょっとした報告をだな…」
私の処分についてだろう。
どうだろうか、地位の剥奪は確実だな…
それとも、この血統のせいで私は狙われる立場にとうとうなってしまったのだろうか。
「お前の処分についてじゃが…」