• テキストサイズ

《イケメン戦国》時を越えて

第9章 時を越えて〜顕如討伐〜


一行が飯田の宿場町に辿り着いたのは、日がどっぷり暮れた頃だった。
「舞さん、無事に着いたよ。お疲れさま。」
「佐助くん、義元さんもお疲れさまでした。」
「お疲れさま。」
馬を預け、歩き出す。
「今日はここに宿を取って泊まる。」
「分かった。体がカチコチだから、早く湯に浸かりたい!」
「ははっ、そうだね。じゃあ、早速行こう。」
「はーい!」
3人は宿に向けて仲良く進んで行った。

ーーー同じ頃。
武田軍は野営を設けて門徒たちの動向を見守っていた。
顕如軍、織田軍、上杉軍は夜を徹して進む。
三者が顔を合わせるのはもうすぐ。


無事に宿に入れた舞たちは夕餉を終え、舞は湯浴みへと向かった。
部屋に残った佐助と義元のところへ軒猿の一人、竜がやって来た。
「佐助様、ご報告を。」
「ああ、竜。お疲れさま。弥助は?」
「湯殿近くに待機しています。」
「そうか。ありがとう。」
「いえ。道中、やはり舞様を狙った輩が。」
「うん。俺も気付いた。」
「顕如の手のものと思われる者で5名。片付けさせていただきました。捕縛せずに申し訳ありません。」
「いや、それで良いよ。捕縛しても連れて行けないし、再び来られても困るから。それ以外は?」
「はい。特には。」
「分かった。この後も引き続きよろしく。あっ、俺も交代で見張るから休息はちゃんと取ってね。」
「御意」
竜は音もなく去って行った。

「軒猿は精鋭揃いだね。」
義元が感心したように言う。
「謙信様の『斬る』のおかげでみんな鍛えられてますから。」
「ふっ、そうだね。謙信は『軒猿は佐助のためにある』って言ってたしね。」
「えっ?」
驚く佐助。
「軒猿はね、内輪揉めで一度崩壊したんだ。そこに佐助が現れて、謙信は佐助を中心に新たな軒猿を作ったんだよ。『軒猿がある限り、佐助が謙信の側を離れることはない』って思ったみたい。」
「……そうだったんですね。」
「謙信は佐助のことを誰よりも信頼してるし、大事に思ってる。」
「謙信様…。義元さん、教えてくれてありがとうございます。俺は…どんなことがあっても謙信様に仕え続けます。」
「うん。そうしてあげて。謙信は孤高な存在だからね。辛い時もあると思うけど、佐助がいることで救われてるんだ。って、今話したことは全部、信玄の受け売りだけど。」
そう言って優雅に笑う義元。
それを見つめる佐助の瞳は潤んでいた。
/ 336ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp